【米澤智子さんインタビュー】 “また頼みたくなる診断士”が実践する3つのポイント (第2回)

【米澤智子さんインタビュー】 “また頼みたくなる診断士”が実践する3つのポイント (第2回)

【第2回 支援先の本音を引き出すテクニック】
過去の記事:第1回

中小企業診断士に求められることを掘り下げてゆく当コーナー。第2回は,「話を丁寧に聞く」ために必要なスキルについて伺います。

コツはいかに相手の視野を広げるか

――話を聞くのが上手な診断士というのは,他の人とどこが違うのでしょうか?

ひとことで言えば「質問力」です。話を丁寧に聞く人は,質問の幅がすごく広い。いろんな切り口を持っています。知識や専門性はもちろん大事ですが,バックボーンにそれがあったうえで,いかに切り口をシャープにして支援先の問題にすばやく突っ込んでいけるか,というところが重要だと思います。

――具体的な質問のコツはありますか?

コツは,いかに視野を広げられるかです。経営者の方は目の前のことに集中しているので,見えていない部分にいかに意識を持っていけるか。それがやっぱり質問力なんです。
たとえば,創業したときの気持ちを思い返してもらう質問があります。「なぜこの会社を立ち上げたんですか?」と当時のことを思い出してもらうと,「私はこんなことをやりたかったんだ」「じゃあ今やっていることはちょっと違うな」と視野が広がるんですよ。そこで「じゃあ10年後はどうしていきたいですか」と聞くと, いろいろ出てくる。それをタスクに落とし込むと,もう実行できるプランができてくる。すると支援先も前へ進むことができるんです。そういう気づきを与えてくれる,視野を広げてくれる中小企業診断士は,質問が上手な人だと思います。

材料を集めて万全の準備で臨む

――そのような質問力を身につけるために,おすすめの方法はありますか?

自分の持っている専門知識に加えて,たとえば支援先の過去の新聞記事などを読んで予習して臨むと,いろんな質問が出てくると思います。私が上手だと感じている何人かの先生も,本当にすごく調べて材料を集め,万全の準備で支援に来られます。そうすると支援先も「そこまでうちのこと調べてくれたんだ」となり,本音も出てくるんです。逆に,しっかり調べないと質問が出てきません。
少し話は逸れますが,私は2018年に「取材の学校」を受講しまして,そこで学んだことがまさにこの質問力・取材力でした。「私が診断士にいちばん必要だと思っていたのはこれだったんだ!」と,今まで仕事の中で感じていたものがすべてひとつになった感覚でした。質問力を鍛えるには「取材の学校」がぜひおすすめです,と宣伝しておきます(笑)。

話を丁寧に聞くために必要なポイントは「質問力」。次回は,意外と忘れがちな3つ目のポイントをご紹介します。

田中 将統 取材の匠メンバー,中小企業診断士
1980年生まれ愛知県出身。法政大学卒業後,雑誌・WEB制作ディレクターを経て,現在はIT系企業にてマーケティングマネージャーを務める。専門分野はデジタルマーケティング,WEBサイト企画制作,セミナー・イベントによる集客施策立案など,オンライン/オフラインをミックスしたコミュニケーション戦略。また,チームマネジメントやITを活用した業務効率化にも積極的に取り組む。趣味は釣りとキャンプとBBQ。

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