【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【第3回 欲張りでいい、二刀流がつなぐ本業と副業のWin-Winな関係】
過去の記事:第1回第2回

【大池俊輔さんインタビュー】

2次試験の事例Ⅳでの大ピンチを乗り越え、弁理士とのダブルライセンサーとなった大池さん。第3回は、二つの資格をどういかしていくのか、今後のビジョンについてお話をうかがいます。

興味をつないできたからこそ! 試験勉強にいきた読書経験

――2年目に計画通り合格を果たした大池さんですが、背景にはやはり今までの興味の積み重ねがあるのでは?

自分の書庫を開けてみたら、たしかに経営に関する書籍は読んでいた形跡がありました。古い本ですが、「成功するビジネスプラン」(日経文庫 伊藤良二著)では、ビジネスプランの策定が非常にわかりやすく解説されていました。定番のバーニーやポーターの戦略論も、通勤時間中に自然と読んでいました。中小企業診断士の試験勉強では、いろいろな書籍で読んできた知識がつながり、学びの楽しさに浸っていたように感じています。

「今」の仕事にこそいきる、中小企業診断士のエッセンス

――中小企業診断士の資格を取得して、弁理士として何か変化はありましたか?

知的財産部での自分とチームメンバーの活動が、事業課題に対してどういう解決策になっているかということを、人に説明できるようになりました。視点が変わったのだと思います。そうなると、経営層に対してもアピールできるし、認めてもらえる。取引先との契約交渉でも、知的財産というフィールドだけでなく、ビジネスのオプションを踏まえて交渉できるようになりました。

――マネジメントに関してはどうでしょう。

チームメンバーに対して、今の仕事が会社の事業のどこにどう紐づいていて、どう貢献しているか説明して、意味づけできるようになりました。その結果、チームメンバーのモチベーションが格段に上がって、事業に貢献するために自分たちはこれをやりたい、というように、言い方が自分ごとになってきた。仕事が自分ごとになると、皆さん意識が高くなり勉強します。マネージャーの僕としては、細かいマネジメントが不要となり、随分と楽になりました。

――中小企業診断士の資格を取ったことでお仕事の幅も広がって、いいことがたくさんあったのですね。

はい。いいことばっかりですね。

副業としても、本業のサポートとしても、診断士資格が大活躍!

――今後は弁理士と中小企業診断士、どちらに重きを置いて活動するのでしょうか。

できれば両方やってみたいと思っています。大谷翔平じゃないですけど、二刀流です(笑)。本業では弁理士という専門性があり、さらに中小企業診断士という視点からビジネス全体を見ることもできる。逆に、中小企業診断士に軸足を置いて、知的財産の分野になると弁理士の顔が出る、両方あってもいいと思っています。

今は本業と副業を別々に考えて取り組んでいますが、もしかしたらいつか、お互いの活動がリンクする瞬間がくるかもしれないとも思っています。僕は中学時代、写真部の部長だったのですが、当時、現像ばかりしていたことから化学に興味を持ち、その後の進路につながりました。これからも、興味の化学反応で新しいものが生まれることを期待しています。

――独立など、今後の展望があればお聞かせください。

独立は今のところ考えていないです。会社の仲間と同じ方向を見て、今後もやっていきたい。担当している研究・事業にも関わり続けたいと思っています。欲張りなのですよ(笑)。資格を取る前は、弁理士に中小企業診断士をトッピングするイメージしかありませんでした。でも副業としての中小企業診断士でも、実務の仕事があるし、やりがいもある。独立しなくても十分、中小企業診断士として活動できるし、今の本業も大切にしたいので、しばらくは二刀流でやっていきたいなと思っています。


中村 美音

中村 美音 取材の匠メンバー、中小企業診断士
神奈川県横浜市出身、都内など14回の引っ越しを経て現在横浜市在住。上智大学卒業後、総合出版社に勤務し月刊誌編集職に従事。その後、個人事業主として、主にコミック、Webの編集者、原案者として活動する。子育てに取り組む期間を経て、2022年に中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会、城南支部所属。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事