多忙を極める仕事、突然の親の介護、波乱万丈な人生を送ってきたY.Tさん。どのように中小企業診断士という資格と出会い、試験を乗り越えたのか。そしてその後の展望は。第3回は、仕事を辞めた後、今後やりたいことをお尋ねしました。
もっと勉強がしたい
――中小企業診断士試験に合格した今、何がやりたいですか。
1年目の1次試験で合格した科目が、経済、財務、運営管理、情報システムだったのですが、十分理解できていないと感じています。特に経済、運営管理に関しては本を買って読んではみたものの、理解が追いついていないため、改めて勉強し直したいと思っています。
――勉強といえば、もう一つの趣味が数学の勉強とのこと。どういった経緯で勉強するようになったのでしょうか。
大学院で数学を専攻していたのですが、やっている内容が高度すぎて理解が追いつかず、数学が嫌いになってしまい、二度と勉強したくないと思うようになっていました。特に統計学に苦手意識があり、勉強から遠ざかっていたのですが、どこかで心残りがありました。AIの機械学習やマーケティング手法など、幅広く使われる学問であり、統計学こそちゃんと勉強すべきだったと思ったんです。それで数学全般をやり直そうと思い立ち、今は大学1年生の学ぶような単元を勉強しています。
独立がしたい
――会社を辞められるとのことですが、その後やりたいことはありますか。
知り合いが最近起業をしたので、しばらくはそのお手伝いをする予定です。ビジネスとして軌道に乗るまで支援をしながら、自分の血となり肉となる経験を積んでいきたいと思っています。
――将来は独立を目指されているんですね。
はい、独立を考えています。基本的にえり好みはせず、何でもやりたいです。今まで見てこなかった世界に触れ合うのを楽しもうと思っています。
もっと直接人の役に立ちたい
――独立を目指される中で、こうなりたいという自分像はありますか。
ひとまず、会社のような組織の中で働くつもりはないです。今まで証券会社や取引所のシステム開発を行ってきましたが、エンドユーザが自分から遠すぎて、いまいち役に立てているという実感が無かったんです。もちろん社会的に重要な役割を担っていることは、理屈としてはわかっています。日本の健全性を保つためにそのインフラを作っているのだということを、頭では理解できているのですが、どうしても心に響かなかったんです。
――社会貢献というのが、自分の中で響かなかったんですね。
これからは、直接人の役に立つ仕事をしていきたいです。成熟した組織で漠然と作業するのではなく、個人事業主の手が足りない部分を支援するなどといった、直接人に価値を提供する、手触り感のあることをやりたいんです。 そうすることで、自分が楽しめて他人のためにもなる、そういった好循環を生み出せていければと考えています。
美宅 光 取材の匠メンバー、中小企業診断士
埼玉県出身・東京都在住。大学卒業後システムインテグレータ事業会社に勤務し、9年間銀行のシステム開発に携わる。その後、よりクライアントに寄り添った提案をしたいという思いが強まり、コンサルティング会社に転職。それにあわせて経営の基礎を学ぶために中小企業診断士の資格取得を目指し、足掛け4年で合格。2022年6月登録。仕事と勉強以外の時間は妻や娘2人と過ごすのが楽しみ。