【D・Sさんインタビュー】経営者に寄り添える弁護士になるために―ダブルライセンスで個性を出す―

【D・Sさんインタビュー】経営者に寄り添える弁護士になるために―ダブルライセンスで個性を出す―

【第3回 外の風に触れる機会を与えてくれる診断士資格】
過去の記事:第1回第2回

【D・Sさんインタビュー】

司法試験・中小企業診断士試験に合格し、昨春から法律事務所で働き始めたD・Sさん。試験の合格前後で、診断士資格に対する視点の変化があったそうです。第3回目は合格後の活動と中小企業診断士に関する考え方の変化についてうかがいます。

実務面での新たな学びを得られた診断士活動

――合格後、中小企業診断士としてどんな活動をしていますか。

診断士登録にあたって必要な15ポイントは実務従事で取得しました。まだ弁護士になって間もないので、作業をしながら人脈を作れそうだと思った取材の学校に参加するほか、他イベントに顔を出す程度で活動しています。

――中小企業診断士に関する活動に参加するなかで、何か学んだことはありましたか。

経営者の方から信頼される弁護士になるために必要なことを学べました。弁護士になるまでの間、弁護士業務で必要な知識を習得する場や実務を経験する場はあります。ですが、例えば仏頂面で人の話を聞くと信頼されづらいなど、いわゆる社会人としてのマナーを学ぶ場はとても少ないんです。診断士活動を通じて、仕事の依頼方法やヒアリングスキルなどを学べたので、実務的な部分で良かったなと感じています。

企業に寄り添える弁護士になるために

――診断士試験合格前、弁護士と中小企業診断士を掛け合わせるメリットをどう考えていましたか。

経営者の方から信頼されやすくなることだと考えていました。例えば、顧問先の企業がM&Aをしたい場合、弁護士としては法的リスクがここにあります、というのが精一杯です。ですが、中小企業診断士としての視点があれば、M&A自体の課題についても伝えられる。法的リスクを超えた経営の視点で話ができれば、より相談してもらいやすい弁護士になれるなと。

――実際に合格してみて、考えに変化はありましたか。

試験勉強をしているなかで薄々感づいてはいましたが、診断士資格があれば経営がわかる、と一筋縄ではいかないことを認識し始めています。法的リスクを超えた視点で話すには、中小企業診断士としての実績を積む必要がある。診断士資格をどう活かすかも大切だと気づき始めました。

――心境にだいぶ変化があったんですね。

ですが、人脈の面で得られるものがあったんです。僕自身、学生時代から弁護士を目指していたので、友人は法曹関係に勤務する人が多くて。一方で中小企業診断士は、目指した理由すら誰一人被らないのでは、と思えるほどに多様な経歴の方がいらっしゃいます。お話しているだけでもすごく楽しいんですよ。知識面でなく、法曹関係とはまた別の方と縁ができたという人脈の面で、法律だけではなく経営にも感度のある弁護士になれるのでは、と思っています。

勉強にかけてきた時間に値する財産を得られた

――今後、中小企業診断士の資格をどう活かしていきたいですか。

法曹関係以外の方と知り合えたことで、弁護士がどう見られているのか、経営はどうあるべきなのか、など俯瞰した視点で物事を見る機会を得られると思っています。この視点を持ち続けるために、中小企業診断士という資格を大事にしていきたいなと思っています。

――最後に、診断士試験の勉強でちょっと行き詰まっている方がいたら、どんなメッセージを送りますか。

僕は現実主義なので、目的が明確でないと腰が上がらないタイプです。ですが、診断士試験に合格していざ動いてみると、思っていた目的以外にも多くのものを得られました。色んな方とお話すると、自分の視野が広がり、考えを変えるきっかけにもなる。この時点で、試験勉強にかけてきた時間に値する大きな財産が得られたと思っています。目的が見えづらくて勉強に二の足を踏んでいる人がいれば、合格した先に待っているところに踏み出すことだけで十分価値を感じられる資格ですよ、と伝えたいです。



依田 彩那

依田 彩那 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学では社会福祉・観光経営を学び、新卒にて自動車部品メーカーへ入社。約6年の在籍期間中に人事・法人営業を経験。現在はソフトウェア開発会社の人事部門にて、研修・キャリア開発担当として社員が働きやすい環境づくりに奮闘中。趣味は人と話すこと・サブスクリプションサービスで好きな音楽を探索すること。

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