
中小企業診断士の試験勉強を独学で進め、ストレート合格した鈴木俊治さん。第3回目は鈴木さんの独学スタイルについて振り返りや、資格取得後の変化、専門性についてうかがいました。
独学の不安は情報収集で解消
――鈴木さんの独学スタイルについて、メリットとデメリットを分析してください。
メリットはお金がかからないこと、自分のペースで勉強ができることです。デメリットは不安を感じることです。勉強の方法さえ間違えなければ大丈夫ですが、合っているかは誰も教えてくれませんので、その点が不安です。現在はツールが充実しているので、このデメリットは情報収集できっと解消できると思います。トータルではメリットの方が大きいです。
――他にデメリットで考えられることはありますか。
勉強で見つかった解らない論点を質問できないことです。解らない論点を放置することに違和感がある人には難しいと思います。その場合は相談相手を作ることが必要です。私の場合、「解らないことは他人にも解らないもし、出題されるかわからない」と置いてしまうタイプですので、気にしませんでした。
――これまでの勉強方法を振り返って鈴木さん自身はよかったと自負できますか。
自負できます。一般的に資格学校に通うのは、受験の入口としてはよいと思います。一方、過去問を解いて嫌になる、やる気がなくなるところを切り抜ければ、独学でいけると思います。また、当時を振り返ると「なぜそこまで確信があったのか」と不思議でなりません。しかし、その当時は「最初に見たもの」ではなく、色々見ている中で「自分の考え方と合っている」、「根拠があって書いているもの」を選びました。もし、そのやり方でダメだったら、別の方法を試していたと思います。
自分の専門性はレッドオーシャン
――診断士試験に合格してご自身で変化したところはありますか。
色々変化したと思っています。まず、交友関係が変わりました。学習面では、机の上での勉強はしなくなりましたが、マスターコースや研究会などで知識のインプットをしています。仕事面では、資格取得の報奨金をいただき、周囲に中小企業診断士取得について話をしたら、「すごい」と言われました。直接ではありませんが、会社の中で自分のキャラクターをつくることができました。
――変化をもたらした中小企業診断士の資格ですが、活動の中で心境に変化はありましたか。
自信はかなりつきました。転職先では自分より、会社や業界のことに詳しい人たちが周りにいる中で、自分の立ち位置をどうしようか悩む時期がありました。「ここは自分ができるから、何か役に立てそうだ」という部分が一つできました。一方、社外では資格を生かした活動で報酬をいただくことがあり、新たな機会となりました。多くはありませんが、社外で報酬をいただけたことに加え、評価してもらえたことはとてもうれしい経験です。
――鈴木さんが今後活動していく中で、専門性を生かせそうな分野はありますか。
悩んでいます。私の前職は海外向けの営業でした。現在の会社の上司はアメリカ人で、英語で会話しています。国際、マーケティングの2つを軸に専門に考えていますが、この分野は多くの中小企業診断士がいて、レッドオーシャンです。英語ができる人も多く、それだけでは「ウリ」にならないので、「自分ができること」を作っていかなければならないと思っています。
――独学で中小企業診断士を目指す受験生にメッセージをお願いします。
中小企業診断士試験は過去問が命というところがあります。コストをかけず、隙間時間でできる一方、不安は情報収集で解消できます。ぜひ頑張ってください。

今井 章夫 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ、埼玉県出身。明治大学政治経済学部を卒業後、全国紙新聞社に入社。販売戦略部門で販売店経営者に対してマネジメント業務を経験した後、現在は新規事業企画、スタートアップ出資、販売支援などを担当。2020年中小企業診断士登録。趣味は登山、ランニング、食べ飲み歩き。40歳を過ぎ、ワイン、日本酒に趣向が変更。将来は事業再生や事業承継、M&Aを通じて中小企業の支援をしていきたい。