【第2回 養成課程の厳しさを知る】
過去の記事:第1回
1次試験合格後、公益財団法人日本生産性本部(以下、日本生産性本部)経営コンサルタント養成講座中小企業診断士コースを経て、2023年5月に診断士登録した前田浩光さん。独立中小企業診断士としてスキルアップし活躍の場を広げている。第2回では、養成課程の体験を通じ、感じたことについて前田さんにお聞きした。
養成課程という選択
前田さんは勤めていた会社を退職後に中小企業診断士を目指した。
「資格が取れたら独立すると決めていました。一日でも早く独立したい」
前田さんは1次試験合格後、日本生産性本部コンサルタント養成講座へ進むことを選択した。中小企業大学校の養成課程の他に、民間実施機関が提供する登録養成課程もあるが、前田さんが日本生産性本部を選んだ理由は何なのだろう。
その理由は2つある。一つは「受講期間が短く、コンサルタントとして、すぐによい仕事ができる力をつけられること」、もう一つは「独立志望の受講者がまわりに多いこと」である。6ヶ月間の受講期間で終了できるのは、中小企業大学校と日本生産性本部の2つである。決め手は、独立志向の受講生が多いことだ。HPやパンフレットにも書いてあるが、事前説明会に参加して、卒業生に直接聞いた。そして、講師の多くが日本生産性本部のプロの経営コンサルタントで、“活きた経営コンサルティング”を学べる点や多くの卒業生を輩出してきた長い歴史の中で、磨かれた「合宿制」の経営診断実習、実践的なケーススタディなどが特徴だ。
養成課程を受講するうえで問題になるのは「費用」と平日受講の場合は、「働きながら受講できないこと」だ。
「費用は、受講費用はもちろん、修了と同時に独立して3年間稼ぎなしでも耐えられるようにしていました。平日受講は、既に退職していたので問題ありませんでした」
前田さんは、日本生産性本部一択だった。
そして、日本生産性本部へ
2022年10月から、6ヶ月間の「濃い」時間が始まった。日本生産性本部は基本的に月曜日から金曜日まで全日制で受講せねばならない。最初の1ヶ月は座学・演習であるが、残り5ヶ月で経営診断実習は5回実施され、2回目の経営診断実習が終わると、経営診断実習の合間にケーススタディが8回盛り込まれている。
特に、経営診断実習は平日5日間診断先企業を毎日訪問し、その企業が製造業ならば工場を、小売業ならば自社店舗と近隣の競合店舗などを調査して、3日間で経営課題と具体的提案を報告書に仕上げて、翌週火曜日に診断先企業へ報告(プレゼンテーション)という流れで行われる。インストラクターやチームメンバーとともにホテルに「缶詰」になりながら、習得したコンサルティングの知識やスキルを総動員して診断先企業に向き合った。
そして、それだけではない。経営診断実習が終わると次の経営診断実習までの2週間程度の間に、経営診断実習の準備をしながらケーススタディもこなさねばならない。事例の「千本ノック」を通してコンサルティングの知識やスキルを応用する力を高めてゆく。
前田さんはその頃のことを振り返って言った。
「12月の2回目の実習が終わった頃からケーススタディが始るんですね。それから3月中旬の修了試験までは、週7日間ずっと経営コンサルティングのことばかり考えていました。本当に大変でしたけど、とても充実した時間でした。」
「実は、3月の修了式の直後に前髪の辺りが薄くなったなと感じたのですが、歳のせいだと思っていました。どころが、半年ほど経って鏡を見て気づきました。3月の頃より前髪が濃くなっていたんです」 こうして、前田さんは充実した日々を「修了」した。
上塘 裕三 取材の匠メンバー、中小企業診断士
名字の読みは「かみとも」。鹿児島市出身。横浜市在住。大分大学経済学部経営学科卒業。2024年2月中小企業診断士登録。神奈川県中小企業診断協会に所属。大学卒業後、法人営業に35年間従事。現在は企業内診断士であるが、近い将来、独立診断士として活躍できるようスキルアップ中。趣味はGOLF練習場通い(コースは年3回程度)、日本史の本・TVの読書と視聴(大河ドラマは欠かさず見る)、色々なスポーツの日本代表を応援すること。