【第2回 養成課程における奮闘】
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大手通信会社に勤めながら、2022年に中小企業診断士養成課程を修了した秋田謙作さんは、「養成課程がなければ僕、多分、中小企業診断士になってなかったと思います」と語る。学生時代から約25年を経て、一度は諦めかけた「診断士資格取得の夢」を実現させた。資格取得までの奮闘についてうかがった。
養成課程の扉を拓く
「本当に嬉しかった。久しぶりにこんな嬉しい思いをした」と目を輝かせながら当時を振り返る。秋田さんは、2020年に城西国際大学大学院 経営情報学研究科 中小企業診断士登録養成課程(以下、養成課程)に見事合格を果たした。学費が検討予算内であり、自宅からアクセスが良いことが決め手となったという。また、中小企業診断士資格だけではなく、MBAとITコーディネータを同時に取得できることも大きな魅力だった。
同期入学生との強い絆
秋田さんの同期生は、全員で15名だった。メンバーの勤める企業の業種は、金融業、製造業、サービス業などさまざまで、年齢構成も30代から60代までと幅広く、女性も3名在籍していた。「覚悟を持って入学した方ばかりでした。能力が非常に高い人が多く刺激になりました。養成課程に入らなければ絶対に知りえない仲間たちと2年間を過ごすことになりました」と秋田さんは当時を思い返した。
養成課程は、2年間土日を中心に約30科目、トータル約1,000時間のカリキュラムを履修するものだった。経営戦略、マーケティング論、人材マネジメント論、財務・会計などのケーススタディによるグループディスカッション、プレゼンテーションが中心だった。想像以上に同期生との共同作業が多かったため、密度の濃いつながりを築くことができた。2年間の間、苦楽をともにした同期と知り合えたことがもっとも大きな財産になった。
養成課程における成長の源泉
養成課程で特に自身の成長につながったことは、中身の濃い診断実習だったという。診断実習は、1社1ヶ月間、2年をかけて5社の企業の診断を行う。診断先企業の状況、外部環境の把握を行い、経営者へのヒアリングやアンケート調査などを経て、中期経営計画の策定、診断実習報告まで、時間をかけて深く診断先企業に入り込んでいく。
「やっぱり、中小企業の経営者とこれだけ長い時間を本気で寄り添えたってところは、大きいと思います。もう完全に仕事、お金をもらって仕事をしているという感覚でした。特に班長の時は、実習先の社長と触れ合う時間も長く、全体のスケジュール管理を含めて、報告のアウトプットの品質など徹底的にこだわって、プロ意識をもってやり遂げましたね」と当時を振り返る。
特に3回目の実習で、最終報告の際に実習先の社長が涙を流して喜んでもらったことが印象に残っているという。充実した企業診断の実践経験が積めたこと、グループワークでメンバーを取りまとめた経験は、中小企業診断士となった現在でも大いに役立っている。
セカンドキャリアの探求
城西国際大学大学院の養成課程は中小企業診断士だけでなく、MBAも同時に取得する。2年次は養成課程のカリキュラムに加えて、修士論文の執筆が重くのしかかる。秋田さんは、「企業内診断士キャリア開発に向けたワークモデル提言~人生100年時代を見据えたセカンドキャリア~」というテーマで修士論文の執筆を行った。「今の会社でのキャリアの目標を見失い、セカンドキャリアを真剣に考えた」という経験が、研究のテーマの問題提起となっている。論文執筆の過程で、いろいろな書籍を読み、指導教員との対話を繰り返し、自己のキャリアについて深く考える機会を得た。

鈴木 健一郎 取材の匠メンバー、中小企業診断士
岐阜県生まれ。デジタルサービス会社に勤務。経営管理スタッフとして、DXを活用した社内のプロセス革新を行う業務に従事。2024年3月、養成課程を修了し、5月に中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会城西支部に所属。特技は手相占い。