【第2回 養成課程で学んだこと】
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ソフトウェア開発のプロジェクトマネージャーとして働きながら、養成課程を卒業し、2024年に中小企業診断士として登録した清水一茂さん。第2回は、養成課程で学んだことを語ってもらった。
実践の養成課程
養成課程の授業では、様々な分野を学ぶ。特に東洋大学は中小企業診断士とMBA、両方のカリキュラムが入ってくるため、経営戦略や組織論から、ロジカルシンキングの授業まで多岐にわたる。また、座学だけでなく、実践の機会が多かったという。実際に工場に行くこともある。旋盤を使ってみる、作業時間を計測し、標準時間を求める講義もあるため、座学ではわからない現場を知ることができる。
基本的なスケジュールは、午前中は座学、といっても中小企業診断士1次試験のような知識の詰め込みに終わらず、課題の解決方法もしっかり勉強する。また、午後のケースワークの説明も行われる。午後はチームに分かれて午前中の講義に関するケースワークを行う。解決策をチームで検討して、パワーポイントにして、プレゼンをする、これを半日でこなさなくてはならない。
短時間でアウトプットを出すためのタイムマネジメントや、チームの話をまとめるファシリテーション力、資料作成力など様々なスキルが求められる。だが、これらについての講義はない。同期24人の発表を毎回聞くため、資料の作り方、まとめ方、発表方法など、いいと思う人のものを真似たと話す清水さん。また、何度もケースワークをやるうちにアウトプットのスピードも速くなっていったという。
仲間の力で乗り越えた奮闘の日々
東洋大学は2年制でMBAも取得できるカリキュラムである。また、会社に勤めながら卒業できるように、土日に講義があるため、2年間休日がほとんどないことになる。養成課程と仕事と家庭、3つを両立しなければならない。幸い清水さんは家族の理解があり、仕事もプロジェクトマネージャーという立ち位置から調整しやすかった。
しかし、仕事の調整と言っても、仕事の全体量が減るわけではない。平日の授業で有給を使わなくてはならない時は、残業で有給の分をカバーする。体力面、精神面、共に疲れるはずだが、やっていることが楽しいため、苦ではなかったという。
「実際に自分の目の前に、社長さんや工場長さんがいて、困っていることについてお話を聞ける。その問題を解決するにはどうしたらいいか考えますし、それを考えるのが楽しい」と目を輝かせながら語る。
また、仲間の存在も大きかったという。清水さんを含めて24人の同期。実習では、同じチームになったメンバーと分担して提案書の作成を進める。
「みんなしっかりやってくるんですよ。だから自分がやれないわけがないという気持ちがありました」
人によっては調整しづらい仕事に就く同期や、家族の理解をあまり得られなかった同期もいるとのことだが、切磋琢磨し、同期24人が一人も欠けることなく卒業できたという。
プロジェクトマネジメント経験が活きた研究
チームでのワークが多い養成課程だが、個人で進めなくてはならないものもある。研究と論文の作成だ。受験時提出した研究計画書に沿った論文を2年間で書き上げるために、清水さんは20年間培ってきたプロジェクトマネジメント力を活かし、緻密な計画を立てた。すでに決まっている章立てに沿って、やるべきことを洗い出し、スケジュールをひく。予定のスケジュールからずれ込む場合は、仕事の予定も含めて細かく調整していったという。
また、研究テーマであるプロジェクトマネジメントに関する研究者へインタビューをする予定だったが、研究計画時からアポイントを取っていたため、スムーズに進んだ。結果として、同期で一番に論文を提出し、優秀論文にも選ばれた。

長山 萌音 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1993年生まれ。神奈川県出身。東京都在住。IT企業にてサーバーエンジニアとして勤務した後、Webマーケティング会社にてWeb集客に従事。その後、デジタルマーケティングのコンサルタントを経て、2023年に勢いで独立。東京都中小企業診断士協会城東支部所属。趣味はディズニーのグッズを集めること。(推しは『ピノキオ』のフィガロ)