【井尾生太さんインタビュー】じっくり学ぶなら、養成課程をおすすめします

【井尾生太さんインタビュー】じっくり学ぶなら、養成課程をおすすめします

【第2回 養成課程での経験】
過去の記事:第1回

【井尾生太さんインタビュー】

大手エンジニアリングメーカーに15年間勤務し、中小企業診断士として独立開業を果たした井尾さん。第1回は養成課程に入るまでの経緯についておうかがいしました。第2回は、養成課程のカリキュラムや養成課程での学びについてお話しいただきます。

養成課程でしっかり学びなおし

――養成課程とはどのようなところですか。

千葉商科大学の養成課程では講義と実習が2年にわたりおこなわれます。講義は中小企業診断士として必要な知識やノウハウを体系立てて学べるカリキュラムになっています。一方、実習は2年間で合計5回ありそれぞれの実習期間が1~2ヶ月弱あります。その間に実習先企業で社長インタビューや現場訪問をし、集めた情報をもとに同じ班のメンバーと議論して、報告書にまとめます。

我々の代の学生数は1学年が22名でした(その後1名リタイヤ)。年代的には20代の学部から大学院に進学された方や、30代・40代が数名、そして50代・60代の方が大半でした。講義は土日中心で組まれており、実習期間中は平日も何度か実習先を訪問するなどの活動をしました。自分は在学時にはすでに退職していたので、時間にゆとりはありましたが、ほかのメンバーは平日働いて週末も講義や実習でつぶれるというので大変そうでした。

――養成課程でご苦労されたことはありましたか。

養成課程での講義は毎回楽しく負担には思わなかったのです。しかし、大学院の修士論文の執筆はつらかったです。20代の頃に大学院で1度修士論文は書いているものの、理系論文と文系論文の書き方の違いに戸惑いました。理系論文の場合は実験してデータを収集してそれを分析して評価するというプロセスとなります。一方、文系論文の場合はデータ収集してもその数字の妥当性をどのように評価するのかがわからなかったのです。さらに自然科学では答えは1つですが、社会科学ではこういう考え方もありますよということで答えが1つではありません。そういうところも慣れなければならない壁となり、乗り越えるのに苦労しました。

――逆に養成課程でよかったことはありましたか。

養成課程在学中には自分は会社を退職しており完全に学生としての生活でした。そのため勉強するときは大学図書館をよく利用していましたが、講義や実習関連でわからないことを調べるときには図書館の蔵書が充実していたのには助けられました。

加えて2年間で5回の実習(流通業や製造業)に時間をかけてじっくり腰を落ち着けて取り組めたことです。実習では毎回班ごとに班長が1名ずつ指名されるのですが、私は1回目の実習で班長になり、主に報告書の全体取りまとめや実習先企業と連絡をとったりしました。その時は私にとって初の班長ということもあり要領もわからず大変でしたが、努力した甲斐あって最終報告会では診断した実習先企業から高い評価をいただくことができ大いにやりがいを感じました。その他の大学の養成課程での実習はもう少し期間が短いと聞いていましたので、千葉商科大学を選んでよかったと思っています。

――すでに独立診断士となられていますが、現在の活動は養成課程で思い描いていたものと比べて違いがありますか。

現在携わっている仕事は月曜から金曜まで定時の業務ですので、今後はもう少し時間のやりくりを自分で工夫できるようなスポット的な仕事を徐々に増やしていきたいと思っています。 サラリーマン時代は毎月決まった金額が決まった時期に入ってくるという安心感と安定感はありました。その点、独立してからは実際に自分働いた成果がそのまま1年間の業績として数字にでてくるので、自分でお金を稼ぐということがリアルに体感できてやりがいとおもしろさを感じています。




窪田 恭之

窪田 恭之 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大阪府出身。1960年生まれ。1983年早稲田大学商学部卒業後、(株)ブリヂストンへ入社。一貫してタイヤ以外のゴム商材を扱う化工品(かこうひん)部門に所属し、工業用ゴム製品の販売促進・企画に携わる。その後事業企画や部門人事を担当。2023年5月に中小企業診断士登録し、現在は千葉県中小企業診断士協会に所属。趣味は、ランニング、スキューバダイビング、スキー、ガーデニング。

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